扶養を外れたら、何を払うことになる?

「知らないと怖い」を、「知れば選べる」に変える

「扶養を外れたら、急にいろいろ引かれて手取りが減るんですよね?」
キャリア面談や相談の場で、よく出てくる不安のひとつです。

たしかに、扶養を外れると“払うもの”は増えます。
でもそれは、「罰」でも「損」でもありません。
今日は、現実を淡々と整理しながら、怖がらせない形でお伝えします。

そもそも「扶養を外れる」とは?

一般的に多くの人が気にしているのは、

・配偶者の税金の扶養
・社会保険の扶養

この2つです。
そして実際に生活に影響が出やすいのは、社会保険の扶養を外れることです。

扶養の範囲内にいる間は、
健康保険料や年金保険料を「自分では」払っていません。
それを外れると、自分の名前で社会保険に加入し、自分で支払うことになります。

扶養を外れたら、主に払うものはこの3つ

健康保険料
厚生年金保険料(または国民年金)
税金(所得税・住民税)

それぞれを見ていきましょう。

① 健康保険料

会社員として働く場合は、会社の健康保険に加入します。
保険料は、

  • 給与額に応じて決まる
  • 会社と本人で折半

という仕組みです。

「全部自分で払う」と思われがちですが、
半分は会社が負担しています。
これは見えにくいけれど、大きなポイントです。

② 年金保険料

ここも誤解が多いところです。

扶養内のときは「第3号被保険者」として、
年金保険料を自分では払っていません。

扶養を外れて会社で働くと、
厚生年金に加入します。

厚生年金は、

  • 国民年金より将来の年金額が増えやすい
  • ここも会社と折半

つまり、「今払う」だけでなく、
将来の年金を積み立てている側面もあります。

③ 税金(所得税・住民税)

収入が増えれば、当然税金も発生します。
ただし、

所得税:収入に応じた段階的な税率

住民税:前年の所得に基づいて課税

どちらも「急にドンと取られる」ものではありません。

また、扶養を外れたからといって、
収入のすべてが引かれるわけではない
という点も、冷静に押さえておきたいところです。

「思ったより手取りが増えない」の正体

よく聞く声に、
「こんなに働いたのに、手取りがあまり増えなかった」
というものがあります。

これは、

  • 社会保険料が発生する
  • 税金が段階的にかかる

という構造上の話であって、
「働き損をした」という意味ではありません。

むしろ、
・保障が手厚くなる
・将来の年金につながる
・働き方の選択肢が広がる

こうした見えにくい変化も同時に起きています。

キャリコン視点で大切にしたいこと

キャリア支援の立場から見ると、
大切なのは「どれが正解か」ではありません。

今は収入より時間を優先したい

子どもが成長したら働く時間を増やしたい

将来の年金も少し意識したい

どれも、立派な選択です。

怖さの正体は、「払うこと」そのものではなく、
全体像が見えないことにあります。

だからこそ、
「何を払うのか」
「何が増えて、何が守られるのか」
を整理したうえで、選べる状態をつくることが大事です。

現実を知ることは、縛られることじゃない

扶養を外れる=大変
というイメージが先行しがちですが、
実際には「立場が変わる」だけです。

知らないままだと不安になる。
知れば、「今はこうしよう」と判断できる。

それが、このテーマの一番のポイントです。

制度は人を縛るためのものではなく、
使い方次第で、選択肢を広げるもの

不安を感じたときは、
「何が分かっていないのか」を一緒に整理するところから、
キャリアはまた動き出します。

数字は「判断材料」であって「ゴール」ではない

「結局、年収いくらくらいから損なんですか?」
この質問は、とても自然です。

ただ、ここで大事なのは
いくらが正解”ではなく、“何が起きるか”を知ることです。

あくまでイメージですが、よく相談に出るラインを整理すると、次のようになります。

年収130万円前後

◆社会保険の扶養を外れるかどうかの分かれ目
◆外れた場合→健康保険・年金を自分名義で支払う、手取りの増え方は緩やかに感じやすい

このあたりで不安が強くなる方が多いですが、
「急に生活が苦しくなる」わけではありません。

年収150〜180万円前後

・社会保険料を払っても、
前年より可処分所得が増え始めるケースが増えてくる
・働く時間と収入のバランスを見直す人が多いゾーン

ここで初めて
「この働き方、意外と悪くないかも」
と感じる方も少なくありません。

年収200万円以上

◆税金・社会保険料は増えるが、手取りも安定して増えていく
◆将来の年金額への影響も実感しやすくなる

ただし、これはあくまで目安です。
家族構成、住民税、通勤時間、体力、家庭状況によって
「ちょうどいいライン」は人それぞれ違います。

キャリア支援の現場では、
数字を“答え”にしないことを大切にしています。

短時間 → フルタイムに移行するタイミング

 一気に変えなくてもいい

もうひとつ、よくある悩みがこちらです。

「いつかはフルタイムにした方がいいんでしょうか?」

これも、正解はありません。
ただ、“おすすめしやすいタイミング”は存在します。

タイミング①:生活リズムが安定したとき

・子どもの生活リズムが整った
・急な呼び出しが減ってきた
・自分の体力に余裕が出てきた

「働けるかどうか」よりも、
「続けられそうか」を目安にします。

タイミング②:仕事内容が見えてきたとき

・職場の流れが分かってきた
・任される業務が増えてきた
・「もう少し関わりたい」と思えた

この段階で時間を伸ばすと、

負担感より納得感が上回りやすくなります。

タイミング③:制度を理解できたとき

・社会保険や税金の仕組みが一通りわかった
・「この収入帯なら大丈夫」という感覚が持てた

不安が減ると、選択はしやすくなります。

キャリコン視点:移行は「段階的」でいい

フルタイム=急に8時間、ではありません。

◆週4→週5
◆1日6時間→7時間
◆繁忙期だけ時間を増やす

こうしたグラデーションのある働き方も、立派な選択です。

キャリアは、一直線に伸ばすものではなく、
生活と行き来しながら調整していくもの

扶養を外れるかどうかも、
フルタイムになるかどうかも、
「今の自分にとって、どれが一番無理が少ないか」で考えていいのです。

現実を知ることは、選択肢を減らさない

数字を知ると、怖くなる人もいます。
でも本当は、その逆です。

◆何を払うのか
◆いつ負担が増えるのか
◆その先に何があるのか

これが見えたとき、
「今はここ」「次はここ」という道筋が描けます。

キャリア支援の役割は、
決断を迫ることではなく、
自分で選べる地図を渡すこと。

扶養を外れるかどうかは、
キャリアのゴールではありません。
その時々の人生に合わせて、行き来していい選択肢のひとつです。

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