「この働き方で合ってるのかな… 」
「もっとできる気もするけれど、一歩が出ない」
そんなモヤモヤって、誰にでもふっと訪れますよね。
心理学者アルバート・バンデューラは、こうした不安の背景には
自己効力感( self-efficacy) 「自分はできる」という感覚
が、大きく関わっていると考えました。
自己効力感は、努力の方向性を決めるコンパスのようなもの。
高ければ新しいことにもチャレンジしやすく、
低いと、本当は能力があっても一歩が重くなる。
今回は、さまざまな職場を経験し、現在は支援員として活躍する
D さんのキャリアから、
「どうやって できる自分 が育っていくのか?」
その心理的プロセスをのぞいてみましょう。
経験から育った 自己効力感という土台

D さんは、新卒で厳しい環境に身を置きながらも、
持ち前の粘り強さで仕事をやり抜いてきた方です。
その後も、カスタマー系業務や販売職など、
人と関わり、状況を読む力が求められる仕事を幅広く経験。
ここで自然と育まれてきたのが、バンデューラの言う
「達成体験(mastery experiences)」
これは、自己効力感を育てる最も強い要因とされています。
たとえば
・多忙な現場で複数案件を調整し、きちんと回しきれた
・急なトラブルにも、状況を把握して即座に対応できた
こうした 小さな成功 の積み重ねが、
D さんの中に「自分はできる」という静かな自信を育ててきました。
社交的で話しやすい性格もあり、
どんな職場に入っても馴染むのが早いのが印象的。
これは、単に明るいだけでなく、
経験から培われたコミュニケーション効力感ともいえるものです。
働き方の選択にも 自己効力感”が影響する

現在、D さんは支援員として働いていますが、
その背景には、単なる転職ではなく、
「自分らしく、無理なく働ける環境を選ぶ」という
大切な意思決定がありました。
バンデューラは、人の行動は
「個人・行動・環境」の相互作用で決まる(相互決定性)
と伝えています。
つまり、 自分の力 と 働く環境 は別物ではなく、
お互いに影響を与えあっているということ。
D さんは、
「人と関わる仕事が好き」という価値観を大事にしながら、
一方で、
「生活とのバランスを整えたい」という現実的な視点も持っています。
こうしたバランス感覚は、
自己効力感がしっかり育っている人ほど取りやすいと言われます。
・やる気だけで突っ走らず、自分に合う場所を選べる
これは 弱さ ではなく、むしろ成熟した適応スキル。
D さんの選択は、その好例といえます。
支援職で開花した ”対人スキル”という強み

支援員として特に輝いているのは
・状況把握が早く、職場内での情報連携がスムーズ
・丁寧な接遇が、まわりの雰囲気をやわらかくする
こうした強みは、まさにバンデューラがいう
「代理経験(他者を見て学ぶ)」
の積み重ねによって形づくられた可能性があります。
過去の職場で、先輩や周囲の 立ち居振る舞い を観察し
自分のスタイルに消化していく。
その柔軟さが、D さんの対人スキルを底上げしてきました。
また、代表の声かけで安心して働けているという点も重要。
サポートがあると、自己効力感がより強固になり、
「もっと挑戦してみよう」という意欲が自然に湧いてきます。
これからの伸びしろ 感情対応の深まり

今後の D さんは、
すでに備えている対人スキルに加えて、
感情理解・心理的対応をさらに伸ばす余地があります。
これは、「できていない」という意味ではなく、
支援職という仕事の特性上、
経験を重ねるほど精度が上がっていく領域だからです。
バンデューラも、
「自己効力感は環境経験によって伸びていく」
と繰り返し述べており、
D さんの場合、この領域での成長スピードはきっと速いはず。
これまでの人生で、
人と関わる経験 をずっと積み重ねてきた基盤があるからです。
あなたの ”自分はできる”は、どこから育つ?

D さんのキャリアは、特別なものではなく、
誰もが持っている「自分を信じる力」が
経験の中でどう育つかを見せてくれる、
とても示唆深いケースです。
バンデューラは言います。
「人は、周囲から影響を受けながら、自分をつくり直し続ける存在だ」
・周囲を見て学んだ行動
・今の環境から得られるサポート
・心の中にある 自分ならできる という感覚
これらが合わさって、
自分らしいキャリアが少しずつ整っていきます。
あなたの 自己効力感 は、いまどこにありますか?
キャリアは「積み上げる」より「育てる」

D さんの歩みは、
キャリアは段を積むように直線に伸びるのではなく、
「経験 × 心理 × 環境」が互いに作用しながら育っていくもの
であることを教えてくれます。
完璧な選択をする必要はありません。
小さくても「できた」と思える経験が、
確かな未来への一歩につながるのです。
今日の自分を、少しだけ信じてみませんか?
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